靭帯損傷について
靭帯損傷は主に、スポーツや交通事故などによって起こるものです。膝関節に大きな力がかかることによって、前十字靭帯や後十字靭帯、内側側副靭帯の損傷が起こってしまいます。靭帯損傷は重症度によって、「軽い損傷」「部分断裂」「完全断裂」に分類されます。
前十字靭帯は、バスケットボールやバレーボールなどでよく行われるジャンプ、着地、急激な方向転換などで損傷しやすいところです。後十字靭帯は特に、交通事故で車のダッシュボードに膝をぶつけることで損傷しやすい靭帯です（ダッシュボード損傷）。
内側側副靭帯は、膝の外側から大きな力がかかることで損傷しやすいです。
前十字靭帯損傷
膝の動きを支える前十字靭帯に強い衝撃が加わり、切れてしまう状態です。強い痛みや腫れが現れたり、膝関節がガクガクになって不安定になったりします。
前十字靭帯損傷の症状
前十字靭帯が切れると、ブツッという断裂音とともに強い痛みが生じます。関節内に血液が溜まり、腫れることもあります。徐々に痛みが緩和しても「膝がガクガク・グラグラする」「膝に力が入らない」「膝が外れそうな感覚」などの症状が残ることがあります。
前十字靭帯損傷の原因
多くの場合、スポーツを行っている時に発症します。特に、ジャンプや着地、急な方向転換、ストップなどの動作を行った時、膝をひねって靭帯が切れてしまうことが多い傾向にあります。また、相手選手との激しい接触を行った時など、外から強い力が加わることで切れてしまうケースもあります。
前十字靭帯損傷の治療法
靭帯が切れたばかりの段階でしたらまず、患部の固定や消炎鎮痛薬の服用などを行い、様子を見ます。時間が経つほど痛みは落ち着きますので、日常生活に支障をきたしていない場合は装具療法や、ストレッチ・筋トレなどの運動療法をメインとした保存療法を行います。しかし、膝関節の不安定性の残存により、半月板損傷や軟骨損傷を続発することも少なくありません。このため、若年の患者様やスポーツ活動の継続を希望される患者様に対しては、基本的に手術（靱帯再建術）を推奨しています。手術が必要だと医師が判断した際は、連携先の医療機関へご紹介しています。なお、術後は、当院でリハビリテーションを受けていただくことが可能です。お気軽にご相談ください。
後十字靭帯損傷
「交通事故で車のダッシュボードに膝をぶつける」「転んで硬いコンクリートなどに脛（すね）をぶつける」「スポーツ中、地面や人に脛をぶつける」などの原因によって、後十字靭帯が切れてしまう外傷です。
後十字靭帯損傷の症状
膝を曲げたり伸ばしたりする（階段の昇り降りなど）と膝が不安定になる」「膝蓋骨（しつがいこつ：膝の皿）周辺に痛みが現れる（膝蓋大腿関節の圧力が高まるため）」といった症状が現れます。ただし慢性期の場合ですと、緩みは軽いため自覚症状に乏しいです。痛みなどの症状が改善されない場合は、後十字靱帯の断裂によって膝が後方へ緩んでいる可能性があります。
後十字靭帯損傷の治療
後十字靭帯は前十字靱帯よりも太く、血流が良い所にあるため、靱帯の修復が行われやすい傾向にあります。軽度から中等度の単独損傷であれば症状は目立ちませんので、手術を行う必要はありません。
しかし、他の靱帯も同時に損傷している場合などは、後十字靱帯以外の靭帯も含めて靱帯再建術の適応となることもあります。手術が必要な際は、連携先の医療機関へご紹介します。
半月板損傷
「膝をひねる」「膝に強い衝撃がかかる」などの原因で、関節内でクッションの役割を担っている半月板が損傷し、痛みを引き起こす疾患です。また、前十字靭帯損傷や内側側副靱帯損傷を併発しているケースもあります。
半月板損傷の症状
「膝を動かした時の痛み」が主な症状です。また膝の腫れや引っかかり感を伴うこともあります。損傷がひどいと、膝に水が溜まったりロッキング（膝関節が動かなくなる状態）を起こしたりするため、歩行困難になる恐れがあります。
半月板損傷の原因
スポーツなどで膝をひねったり強い衝撃が加わったりすることで、発症することがあります。また、老化によって半月板の変性があると、些細な衝撃や動きで損傷してしまうこともあります。
半月板損傷の治療
鎮痛薬の服用や局所麻酔薬、ヒアルロン酸の注射などを行っていきます。また、リハビリテーションにより柔軟性や筋力を高めていくことも重要です。膝に負担のかからない動作など、専門のスタッフが指導していきます。なお、薬物療法やリハビリテーションにて改善が見込めない場合や、損傷の部位や状態によっては手術をご提案することもあります。手術が必要な患者様には、連携先の医療機関をご紹介します。
